New York

在校生ブログ_#56 新規開設 Finance MBAプログラム体験記

自己紹介

こんにちは、2024年度から新設されたFinance MBAプログラムに在籍しているRikutoです。日本の大学を卒業後、事業会社経理で3年、Big4 FASで3年勤務し、家族帯同でボストンに来ています。今回はFinance MBAプログラムの魅力を中心に、Hultでの経験をシェアできればと思います。

Finance MBAプログラムの紹介

秋学期・春学期はボストンキャンパスを拠点としつつ、各学期に2回実施されるBusiness Challenge(一週間弱の実践型チーム課題。詳細は後述します)は、一部ニューヨークでも開催されます。夏学期には、ボストンまたはニューヨークキャンパスのいずれかを選択し、Private Equity、Venture Capital、M&A、AI for Investmentなど、ファイナンス関連の選択科目を履修する必要があります。

個々人のプランにもよりますが、金融の中心地であるニューヨークでネットワークを築き、卒業後のキャリアに繋げることを意図したプログラム設計になっているのではないかと理解しています。
STEM認定プログラムなので、一定の条件を満たせば、卒業後1年間のOPT(Optional Practical Training)に加え、さらに2年間の延長も可能です。

9〜12月の秋学期は、通常のMBAコースと同じカリキュラムを履修しますが、1〜4月の春学期からはFinanceのコア科目が徐々に始まり、Finance MBA生のみのクラスで学ぶ機会が増えていきます。リーダーシップ、オペレーション、経済、戦略といったMBAの基本分野に加え、InvestmentやCorporate Financeなど、ファイナンスに特化した内容も網羅されており、忙しいながらもバランスの取れたカリキュラム構成になっていると感じます。

※プログラム初年度のため、次年度以降カリキュラムが変更されているかもしれません。あくまでも本年度時点での情報としてご参照ください。

Finance MBAメンバーの紹介

今年のFinance MBAには14名が在籍しています。国籍はペルー、ブラジル、イギリス、イタリア、モザンビーク、インド、フィリピン、日本と多様です。プログラムの特性上、ヘッジファンド、VC、銀行、アセマネ、FP&A、証券会社など、金融関連のバックグラウンドを持つ学生が多いものの、中にはセールスやサプライチェーンにバックグラウンドを持った生徒もいます。

金融出身が多数だからなのかは分かりませんが、個性豊かでクセのある(良い意味です)メンバーが多く、他のMBA生と比べても刺激的な人たちが集まっているように感じます。少人数だからこそ、お互いを深く理解し合い、それぞれの強みや経験をどう引き出すかに日々向き合いながら、多くの学びを得ています。

なお、ファイナンス以外の科目は全体のMBAクラスと一緒に受講するため、コミュニティが限定される心配は特にありません。個人的には、多様なバックグラウンドを持つクラスメイトとMBAの基礎科目を幅広く学びながら、ファイナンスのコア科目は少人数でじっくり学べる今の環境にとても満足しています。

Business Challengeのご紹介

Finance MBAのBusiness Challengeは秋学期の2回はボストン、春学期の2回はニューヨークで実施されました。全4回のうち、初回はMBA全体で共通のテーマ、2回目はMaster of FinanceやFinance DDとの合同テーマ、そして3回目・4回目はFinance MBA生のみでの取り組みでした。

以下、春学期に行われた2回のチャレンジの一部を簡単にご紹介できればと思います。

春学期1回目のチャレンジは、とあるスパ事業を営む起業家をキャンパスに招き、株主や利害関係者の調整案を提案するという内容でした。業界や事業の分析、企業価値評価に加えて、既存投資家の構成や特性、創業者のビジョンや希望などをヒアリングしながら、企業にとって最も適切な意思決定とは何かを探る必要がありました。

株式の発行は可能か。現状よりよい条件での負債の発行は現実的か。あるいは会社の売却か。売却する場合は誰に、どのくらいのリターンをどのタイムラインで見込めるかなど、リアルな経営判断が求められる中で、創業者を納得させるプレゼンを行うのは大きな挑戦でしたが、非常に実践的で学びの多い経験となりました。

課題の途中では、Bank of Americaのニューヨークオフィスを訪問し、現役のM&Aバンカーから直接話を聞く機会も頂きました。実務経験に基づいたフィードバックを受け、それを自分たちの提案に反映させるプロセスを通じて、これまでにない視点や思考法を学ぶことができました。

<Bank of Americaニューヨークオフィスにて①>

<Bank of Americaニューヨークオフィスにて②>

 

春学期の最終課題では、機関投資家として、Sustainable Impact Investmentをテーマに10社前後のポートフォリオを構築・提案しました。投資方針や価値観をもとに業種や企業を選定し、ESGスコアにも配慮しながら投資戦略を練り、投資家への提案を行う、実践的な課題でした。

課題の内容と直接関係していたわけではありませんが、チャレンジの一環として、ニューヨーク証券取引所とナスダックを訪問する貴重な機会をいただきました。普段はニュースでしか見られない光景を間近で体験できたことはとても光栄で、今後の大きなモチベーションにもなりました。貴重な体験の場を用意してくださった学校関係者の方々に感謝です。

<ニューヨーク証券取引所にて>

<NASDAQにて>

 

課外活動(GCCH)のご紹介

Finance MBAプログラムとは関係ないですが、課外での活動としてGlobal Case Competition at Harvard(公式サイト)に参加しましたので簡単にご紹介します。

この大会は世界各国から学生が集まり、M&Aをテーマに業界・企業分析、バリュエーション、取引シナジーやリスクの評価、戦略立案、提言までを行い、35枚のピッチデッキを作成するコンペティションです。今年は33カ国以上・300チーム以上が参加していたようです。

私たちのチームはペルー、コロンビア、グアテマラ、日本というラテン色の強い構成で、授業の合間を縫って約3週間かけて準備しました。与えられたテーマは「Should Ferrari acquire Pirelli?」。残念ながら目標としていたファイナリスト10チームには選出されませんでしたが、信頼できる仲間と日々議論を重ね、一つのストーリーを作り上げた経験は非常に有意義でした。
大会後にはハーバードで、ネットワーキングやキャリアセッション、BCGとのワークショップ、バリュエーション講義などが行われ、刺激ある時間を過ごすことができました。

<HarvardでのCareer Sessionにて>

学校の授業とは異なり、チームを自由に組める点も魅力の一つです。必要なスキルやリーダーシップをもとに、M&A・ファイナンス・セールス・データ等に強い仲間と最強チームを組めば、優勝も夢ではないかもしれません。M&Aやコンサルに興味のある方には、ぜひ挑戦をおすすめします。

※成果物も含め、チームメンバーがLinkedInに投稿してくれていますので、興味のある方はぜひご覧ください。

 

おわりに

長くなってしまいましたが、最後まで読んで頂きありがとうございます。今後プログラムをご検討されている方にとって少しでもご参考になれば幸いです。真面目な話が中心になってしまいましたが、留学準備や就活における苦労、家族との時間、留学生活の楽しみ等、まだまだシェアできることは多くあるような気がしてます。気になる事項等があれば以下までご連絡ください。

https://www.linkedin.com/in/rikuto-shiraishi/

<春学期最後の授業/Mixerにて>