こんにちは。2024年9月からHULTサンフランシスコ校でMBAを専攻しているYasushiです。
私は日系・外資系のスーパーコンピューターベンダーで20年以上エンジニアをしてきました。卒業後は同業界での米国就職を目指していますが、現地の就職市場は非常に競争が激しく、特にビザスポンサーを必要とする我々外国人には現地の人材以上の魅力が求められます。そのため、自己プロモーションやネットワーキングが非常に重要です。
そこで今回は、私が実践している「Sushi」を通じたネットワーキング戦略、その背景や具体的な取り組みについてご紹介します。
Contents
EFでの学びと課題
2024年4月から2ヶ月間、HULTと同じ建物内にあるEFサンフランシスコ校に通い、HULT在校生と直接会話を交わしたり、多くのネットワーキングイベントに参加しました。
在校生から聞いた多様なネットワーキング戦略 (広さ、深さ、趣味、言語)を聞き、それを参考に自分なりの方法を模索しましたが、以下の課題に直面しました。
- イベント選択の難しさ:Tech系イベントは豊富ですが、自分の専門分野に直結するものが少なく、イベント選択に苦労しました。
- 自己プロモーションの難しさ:短時間で自分を印象付けるためには、分かりやすさと強烈なインパクトが必要です。また、専門分野の話を短時間で伝えるのは至難の業でした。
Figure 1. AICamp@GitHub San Francisco
日本での行動1: 戦略再考
6月に一時帰国し、9月の再渡米に向けて戦略を再検討しました。英語力やビジネススキルの強化も重要ですが、私の場合は専門性や業界を変更しないため、対象業界の重要人物からのリファラル獲得に注力することにしました。
他の候補者との差別化を図り、強い印象を残しつつ、短時間で効果的に自分を売り込む手段として、以下の戦略に辿り着きました。
- Sushiの活用:対象業界と距離がある場合でも、Sushiを通じて一次ネットワークから二次ネットワーク以降への広がりを図る。
- 既存ネットワークの活用:対象業界が狭いからこそ、会社在籍中に築いた既存ネットワークを最大限に活用する。
Why Sushi?
技術や資格があっても、それに興味を持たない相手には魅力が伝わりにくい場合があります。しかし、「食」は文化を超えた共通の話題となります。特にSushiにはネットワーキングのツールとして以下のような特徴があます。
- 手軽な準備:事前に仕込んでおけば火を使わずに提供できるため、イベントに適応しやすい。
- ベジタリアン対応:野菜や豆腐を使ったネタで、ベジタリアンやビーガンにも楽しんでもらえる。
- 体験を共有できる:Sushi作り体験は、一緒に楽しめる要素が強く、深い印象を残せる。
- サンフランシスコでの評価: Sushiは高級料理として認知され、食材も比較的入手しやすい。
- 名前とのリンク:私の名前がSushiとリンクしているため、名前と特技をセットで覚えてもらいやすい。
さらに、北海道出身で新鮮な魚介に親しんで育った背景もあり、Sushiは私にとって自然な選択でした。また、Sushi作りの工程は私の専門分野であるスーパーコンピューターの高速化技法の話に繋げるきっかけも作りやすく、自分の強みをアピールするには最適な手段です。
日本での行動2: Sushi Masterへ
単なる寿司好きからSushi Masterとして信頼を確立し、説得力を向上させるため、2024年7月から池袋の東京すし学校で修行し、江戸前寿司の技術認定書を取得しました。学校の生徒は海外渡航予定者(スペイン、オランダ、UAE、カナダ、米国)が多く、先生も海外寿司事情に精通しており、大変刺激的で学びの多い期間でした。
その後、米国での実践を想定し、日本国内で次の3つのネットワークでSushi教室を開催しました。
- HULTネットワーク:渡航前のHULT日本人留学生にSushi作りを教えることで、学内のネットワーク拡大を図りました。同期メンバーもSushiを握れるようになったはずなので、米国でのSushiイベント拡大の貴重な戦力として期待しています。
- 海外MBAネットワーク:海外MBA.comのイベントでSushiを提供し、他大学MBA留学生との交流を深めつつ、新たな紹介を得る機会を広げました。
- 既存ネットワーク:現職・前職の同僚に向けたSushiイベントを開催し、キャリア支援を依頼しました。
Figure 2. 技能試験@東京すし学校
Figure 3. 渡航前HULT寿司教室@東京
米国での行動: HULT Sushi Club CEOへ
今年10月にHULTのCampus Clubの一つであるSushi Clubを引継ぎ、3代目CEO兼Sushi Masterとして活動を開始しました。
現在12月のイベント開催に向けて日々食材や調理法を試行錯誤してます。試作品は時々クラスメートに試食してもらったり、グループワークでの関係悪化時にメンバー全員で食べることで関係改善にも貢献してます。
結果として、着実に「Sushiおじさん」としての認知度向上を実感しています。クラスメートや教授からも「いつSushiを食べさせてくれるんだ!」、「どんなSushiビジネスを始めるんだ?」と聞かれることが度々あります。
あまりにSushiのインパクトが強すぎて、本職がエンジニアではなく寿司職人だと思っている人もいるようです。この点は徐々に改善していきたいと思います。
今後は、日本の伝統的なSushi、すなわち引き算の美学や所作を含めた総合芸術としてのSushiをより理解してもらい、その一方でサンフランシスコの多文化と多様な食材を活かしたGlobal Sushiの可能性も追求していきたいと思います。これをきっかけにHULT内に留まらず、現地のTech業界の人々にも興味を持ってもらうきっかけづくりができればと考えています。
このSushiネットワーキング戦略が今後のキャリア形成にどのような成果をもらすかは未知数ですが、引き続き挑戦し、結果を楽しみにしています。
Figure 4. クラスメートに寿司30人前提供@Napa Valley Wine Tour
最後に
海外就職を目指す方へ。改めて次の3つの問いについて考えてみてください。
- 現地の人以上に自分を雇用したいと思わせる要素は何か?
- 他者が自分を紹介したいと思わせる魅力は何か?
- 今の居住国や所属組織でしかできない経験は何か?
気になる点があれば、何でも気軽にご相談下さい。
LinkedIn: www.linkedin.com/in/yasuyoshi-ito
次回は、ボストンキャンパスのShigeさんにバトンタッチします。